THE WORLD CLOSET|世界の古着ポップアップイベントを開催しました

THE WORLD CLOSET|世界の古着ポップアップイベントを開催しました

2021年9月25日(土)、26日(日)の2日間にわたってTHE CIRCLE にて開催された古着ポップアップイベント「THE WORLD CLOSET」。

当日は普段はワーキングスペースのTHE CIRCLEがセレクトショップのようなおしゃれ空間に一気に様変わりし、たくさんの方にお越しいただけました。

その当日の様子と裏側をレポートします!

愛着のある服を持つということ

あなたにしか似合わない、特別な一着を

突然ですが、日本の衣料廃棄物が年間どれだけに上るかご存知でしょうか?

正解は、年間約140 万トン。

そのうち80%近くが焼却・埋め立て処分されています。

こうした大量生産・大量消費の悲しい現実を考えたとき、そうした商品を購入することに多くの人が疑問を抱き始めているのではないでしょうか?

大量生産された商品を購入することよりも、長く使えるお気に入りの一着を。

すぐに過ぎ去ってしまう流行ものよりも、あなたにしか似合わない特別な一着を。

そんなコンセプトで開催されたのが、今回の古着ポップアップイベント「THE WORLD CLOSET | 世界の古着 」です。

「THE WORLD CLOSET | 世界の古着 」の仕掛け人

今回の「THE WORLD CLOSET | 世界の古着 」の仕掛け人、島田龍太さん。

地元軽井沢出身の27歳で、「しまもん」の愛称で親しまれている大の古着好き。

オーダースーツの制作等も行っており、2022年春に軽井沢本通り沿いに古着屋をオープン予定です。

島田 龍太

固定概念に捉われない「自分らしい」をみんなと考えていきたい。

島田 龍太

直感的に感じる自分の好きをセレクトしたお店を出したら、小さい時からの夢だった生き方になった。自分の好きに影響を与えてくれた人たちが好きでやっているそれらをあまり知らなかったりする。そんな人たちと一緒に仕事ができて、それを共感してくれる人に出会えて、そんな人たちに囲まれながら生きていくことを想像しながら生きていけるのが、きっと今の僕の自分らしい生き方なのかと思う。

直感的に感じる自分の好きをセレクトしたお店を出したら、小さい時からの夢だった生き方になった。自分の好きに影響を与えてくれた人たちが好きでやっているそれらをあまり知らなかったりする。そんな人たちと一緒に仕事ができて、それを共感してくれる人に出会えて、そんな人たちに囲まれながら生きていくことを想像しながら生きていけるのが、きっと今の僕の自分らしい生き方なのかと思う。

THE CIRCLEがオープンしたばかりの頃、通りがかりにたまたま立ち寄ってくれたのがしまもんとの最初の出会いでした。

地元に帰ってきたばかりだという彼と、縁もゆかりもない初めての地でスタートを切ったばかりだった私たちTHE CIRCLE。

THE CIRCLEの掲げるテーマと「古着」というアイデアも一致しており、そして何より「古着のポップアップ販売をさせて欲しい」という彼の熱意と人柄に惹かれた私たちは、一つ返事でOKさせていただきました。

 

彼のセレクトする古着

フランスやイギリス、アメリカなどの海外物を含め、世界各地からセレクトされた彼の古着。

選ぶときの基準を聞くと、「パッと見たときにそれを着てくれる人の姿が想像できたり、こんな服を着ている人が軽井沢を歩いてくれたら、と思って選んできています。あとは自分のセンスや好みもそこに加わります。」

そして今回のポップアップでは、それに加えてTHE CIRCLEの雰囲気も考慮して「『クリーン・きれいめ・年齢層若め・感度の高い人たち』といった要素を軸に選びました。あと、遊び心としてそこにあえて『土臭い・おじさん・懐かしい』といった要素も入れました。」とのこと。

THE CIRCLEの雰囲気も考えていてくれていたなんて、さすがしまもんです!

ちなみにポップアップのために用意された古着はなんと約150着。

当日が近づいていくにつれ、着々と商品の搬入が行われていきました。

 

知られざる古着の世界

ここで3点だけ、当日特に人気だった商品をご紹介します。

しまもんに教わった解説付きです。

こちらは「フィッシャーマンニット(Fisherman knit)」と呼ばれる手編みのニット。

「フィッシャーマン」とは漁師のことで、主に北欧で漁師が船に乗る時の防寒着の役割を果たしたと言われています。

前後ろがなく、1枚のニットの中に繊細な編み目が何種類も切り替わって存在しているのが特徴です。

それにはちゃんと理由があり、前後ろがないのは、暗くても漁師がすぐに着れるようにするため。

そして異なる網目が存在するのは、その漁師がどの村のどの地域出身かがわかるようにするためだったと言います。

昔は漁に出る事は今よりもっと危険で、漁師は命がけの職でした。

実際漁に出て亡くなる漁師も少なくなく、網目の柄を地域ごと決めておけば、帰ってきたときにその人が来ている服をもとに故郷の村、家族のもとへ戻してあげやすかった、という事です。

1枚のニットから、時に死と隣り合わせの漁師という職の過酷さが垣間見えたり、この柄は一体どこのどの地域のものなんだろうと世界の知らない土地に思いを馳せたりと、いろんな想像が膨らみますね。

全て手編みなので量産品よりモノもよく、何人かの間で争奪戦が繰り広げられるほど人気の商品でした(笑)

2つ目はこちらのBarbour(バブアー)のベスト。

Barbourは1894年創業の、伝統あるイギリスのアウトドアブランドです。

元はコートのインナーとして寒暖調節のために付属していたベストですが、それをおしゃれ感覚で楽しむベストという、新しい着方を想定しています。

こんなふうにコートの上に羽織っても素敵。

裏返してあえてファーの面を表にし、タグを見せています。

確かにインナーにしておくにはもったいないくらい可愛いですよね。

元インナーだったものがアウターに、しかも裏返して着るという、当時の作り手はきっと1ミリも想像もしなかったような着方ではないかと思います。

時を経て、着方や楽しみ方がアップデートされていくのも、古具の魅力の一つのような気がします。

 

最後は、こちらのボーダーのカットソー。

「ボーダー」がカジュアルに服の柄として使われるようになったのは1980年代と言われていますが、まさにその頃のものです。

古着には、①誰かが使用していたが何らかの理由で手放された「古着」、②売れ残って倉庫に眠っていたり、戦争などで本来着る人が亡くなって残された「デッドストック」の大きく2種類があると言われますが、こちらは後者。

つまりヴィンテージの新品です。

そのためモノもよく、かつすでに生産の終了している初期ボーダーの限定品ということで今ものすごく価値が上がっている古着の一つです。

 

当日の様子

さて、待ちに待ったポップアップ当日!

しまもんの友人、知り合いはもちろんのこと、あいにくの天気だったにもかかわらず本当にたくさんの方にご来場いただけました。

普段はコワーキングスペースであるTHE CIRCLEも、中のレイアウトを大胆に変更。

ウェルカムドリンクもお出ししました。

服屋で7年間の経験のあるしまもん。

飾らない、しかし丁寧でハートフルな接客が、見ていてとっても素敵でした。

愛着のある服を持つということ

2日間を通して私が印象的だったのは、服選びをこんなに楽しんでいる人たちで溢れる空間を見たことがない!ということでした。

普段は絶対着ないような服だけどどうかな?なんて迷っていると、しまもんがさりげなくその服の合わせ方を教えてくれ、ちょっとトライしてみようかなという気になったり。

古着としてのストーリーやバックグラウンドを聞き改めて見ると、服が作られた当時の社会情勢やその国の歴史が垣間見えたりして、その服を見る自分の眼差しがなんとなく変化したり。

そうしてお気に入りの1着に出会い購入した服は、この先ずっと思い入れ深い服になると思います。

私もBarbourのベストを購入しましたが、きっとずっと大事に着ると思うし、その度に今回のポップアップイベントのことやしまもんのことを思い出すような気がします。

その予定は今のところないですが、たとえもし手放すことになるとしても、容易に破棄するなんてことはせずにそれをまた大事に使ってくれそうな人が現れたときにあげるなり、ちゃんと大切な手放し方をすると思います。

愛着のある服を持つって、素敵です。

ユニク○やH&○の服も私はまだ買ってしまいますが、こうして少しずつ、自分の選択をより心地よいものに、そして意味あるものにしていけたらいいなと思いました。

そんな意識が、今回のポップアップに来てくれた人たちの中にも少しでも生まれていたら幸いです。

来場者の皆様、ポップアップに協力してくれた仲間たち、そしてしまもん、本当にありがとうございました!

※なお、今回の売上の5%はユニセフに寄付させていただきました。

 

イベント・ポップアップ・展示・ワークショップ等のスペースとして

THE CIRCLE KARUIZAWAはイベントやポップアップのほか、展示スペース、ワークショップ、研修等の会場としてもご利用いただけます。

使い方やご予算など柔軟に対応しておりますので、是非お気軽にご相談ください!

 

WRITTEN BY

工藤 美奈

グラフィックデザインをしながら、アーティストとして絵を描いています。 海外一人旅と山登りをこよなく愛する、アウトドアガール。